お知らせ
令和元年度 京都大学学びコーディネーター事業の実施 

 『京都大学が高大接続・高大連携活動の一環として,全国的に展開している学びコーディネーター事業』により,今年度も12月14日に学びコーディネーターをお招きし, 出前授業を実施していただきました。 お二人の講師の先生による講義を1,2年次生約100名が受講しました。


「地球外生命を探せ!-宇宙生命探査の歴史と最前線-」
京都大学大学院 理学研究科
石澤 祐弥(いしざわ ゆうや)先生

 「近年では地球外の天体に液体の水の存在が確認されたり、 地球に似た惑星が発見されたりと、地球外生命の探査が最前線の研究として盛んに行われています。近い将来にはエンケラドスという土星の衛星で宇宙生命の直接検知が現実になるかもしれません。アメーバのような微生物から人類のような知的生命体は地球以外に存在するのか、どのような環境で生まれるのか、またそれらをどのように見つけるのか、そして我々人類はどこからやってきて、どこへ向かっていくのか。本授業ではこうした問いに触れながら、地球外生命探査の歴史から最前線の研究まで紹介します。」

【生徒の感想より抜粋】
 「僕はこれまで宇宙についてほとんど知識が無く, 知らないことばかりでしたが, 今回講義を聞いて宇宙空間の壮大なスケールとその中で行われている地球外生命体を探すプロジェクトにとても魅力を感じ, より知識を深めたいと思うようになりました。 特に地球外知的生命体探査(SETI) のする仕事に驚きました。SETIには, 受動的SETIと能動的SETIがあり, それぞれ電磁波をキャッチしたり, メッセージを送ったり, 地球外生命体が存在するかどうかを実験したり, といった凄いプロジェクトが実際に行われていることにまず驚きました。 (中略) いずれにせよ, 地球は人間にとって, とても恵まれた場所であるということを実感し, 環境を大切にしていかなければならないなと思いました。これからも宇宙の分野を含め自分が興味を持ったことはどんどん調べて, 理解を深めていきたいと思います。有り難うございました。」「今回の授業で特に印象に残っているのは, なぜ未だに人類は地球外生命体と交信できていないのかについてです。自分は昔からこんなに宇宙は広く星がたくさんあるのになんで地球外生命体を発見できないのか不思議に思っていました。でも今回の授業で宇宙の歴史からすると, 人間が宇宙人と交信しようとしている時間はほんの一瞬だという話を聞き, とても納得しました。 今, 地球は環境破壊や核などにより滅亡してしまうのではないかと言われていますが, この文明を長く続け, いつか地球外生命体と交信できれば思いました。」
 


「持続可能な社会を目指して―エシカルな消費について考える―」
京都大学大学院 文学研究科
浮網 佳苗(ふあみ かなえ)先生

 「グローバル経済の加速や貧富の地域間格差、劣悪な労働条件、地球環境問題など、現在の世界には多くの課題が立ちはだかっています。こうした問題の緩和に向けて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や非営利組織による活動、企業によるさまざまな取り組みが進められていますが、同時に、私たち一人一人もまた日常において行動することが求められています。そこで、本講義では、誰もが行う消費(買い物)という行動を通じて持続可能な社会を目指していくことについて考えます。とくに、その活動の発祥となったイギリスを取り上げ、その歴史的経済的背景を踏まえながら、私たち消費者にできることは何かを考えていきます。」

【生徒の感想より抜粋】
 「授業の中で特に印象的だったのは, バングラデシュのビル崩壊の話で, 違法に建てられた建物で, しかもひび割れていたのに従業員に出社させたものだった。そのような状況で働いている人が実際にいるという現実がとても悲しいと思いました。これまでそういった人たちに対して, 自分一人では大してできることはないと思っていましたが, 個人の影響は意外と大きいことが分ったので, これからは買い物をするときに自分の利益だけでなく, 商品に関わる人たちの幸せも考えて, エシカルな消費を意識して行きたいし, そうやって“思いやり経済”が広がって行けばいいなと思いました。」
   「持続可能な社会を実現することは大切だと分っていても, 実際何をやればいいのか明確ではなかったけれど, 自分の普段の買い物の仕方や意識を変えて, 一人一人が実践することでより良い社会が作っていけるということを知って, これからの生活に大いに活かすことができると思いました。 過去にあったことの例を明らかにすることで, 将来をよりよいものにすることができるという歴史学はやりがいがあるし, 学んでみたいと強く思うことができました。」
 

  空を見上げ遙か彼方に思いを馳せ, 疑問に思っていたことを解決できたり,  未知の領域にわくわくしたり, 歴史学から学んだことを日常の世界に取り入れエシカルな消費を実践してみようと考えたり,奇跡的な存在の地球を大切に存続させる必要を実感したり, 生徒達は今回の授業で多くを得ることができた様子です。本日の貴重な経験をそれぞれの今後の学びと進路実現に活かしてくれるものと期待します。このような時間を提供していただきました京都大学高大連携事業関係者の皆様,講師の石澤先生,浮網先生に心より御礼申し上げます。